論理の流刑地

地獄の底を、爆笑しながら闊歩する

【備忘】日銀時系列統計データサイトをつかう

Introduction

以前よんだ鶴ら(2019)「日本経済のマクロ分析」を再読していた。
(数か月前に読んだ本だけど結構内容忘れていた。悲しきザル記憶力である...)

そこでは、景気循環を把捉するためのデータとして日銀短観が出している景気動向指数(CI, DI)が紹介されており重要な分析上の役割を担っていた。
当然日銀は官庁ではないので、e-statには短観データは収録されておらず、日銀の公式サイトに短観のページがあり、そこで主要な年度別データが公開されている。

※ちなみにこちらを参照したのは産業別の雇用動向DIなどを分析するためである。
CIや産業を問わないDIについては内閣府が時系列系列データを提供している

なんかこれあんまりスマートじゃないな?と思いながら色々見ていたら、実は下のような時系列データを提供する用のサイトが存在していた*1

このサイトを使えば結構柔軟に欲しいデータが取得できる気がするので、使い方についてメモしとく。
API化されていたらもっとよかったけどね...)

How To

前提:景気動向指数について

私のような素人が書いてもアレなんで、鶴ら(2019:97)をそのまま引用します。

景気循環の状況を示すために、生産、雇用など様々な生産活動での重要かつ景気に敏感に反応する指標を統合した「景気動向指数」が作成されている。

景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)がある。
CIとDIは共通の指標から作成されており、景気に先行して動く先行指数、ほぼ一致して動く一致指数、遅れて動く遅行指数の3つの指数がある。

日銀(短観)は、各項目に対応したサブ指標のDI値を公開してくれていて、しかもそれが産業別で提供されているため、なかなかよい。

今回取得するもの

上述の鶴先生の著書では雇用人員DI(産業別)を取得していたため、それを我々もとってきてみよう。
以下の検索ページおよびコード一覧をみてやっていく。

ここで便利なのは、検索画面 -> 「データコード検索」のタブで表示される以下の画面である。
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「コード一覧」のページをみると、"項目コード"が雇用人員(608)で、計算形態がD.I.(G)なので
中間一致で「*608G*」を入れて候補コードを表示させてみる

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「*608G*」を入れたときの候補コードの検索結果@日銀データサイト

すると、それっぽい候補が表示されるので、さらに自分の用途に合わせて、必要なコードを絞っていく
ここでは、四半期(CQ)、実績値(0) , 企業規模を全規模(0)で詳細項目は通常項目(000)にして、「*608GCQ00000」でさらに検索してそれをDLしてみる。

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ここで「抽出条件に追加」ボタンをclickして、抽出対象期間と期種変換(この項目があるので基本的にはコードでの「期種」はCQ(四半期)にしとくのがいいっぽい)に適切なのを選べば、求めるデータがcsv形式でDLできる。

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DL結果

できている。

Technical Notes

※21/4/7に追記したもの。

上のような形でDLした各指標の系列は、産業別に集計されているが、以下のようなイケていない点がある。

  • 産業コード間の包含関係・階層関係が示されていない(違う集計レベルが混同されている)
  • 短観データにおける産業分類は何回か改訂が行われているが、そこでどういう変更があったかわかりにくい

で、どうすればいいのかというと、日銀短観の公式解説資料を読め、ということになる。

産業コードに関しては上のPDFファイルのpp.6-7に産業分類の詳細が記載されている。

業種区分は、総務省が告示する「日本標準産業分類」をベースに、
以下の通り製造業を17業種、非製造業を14業種に区分している。

とのことらしい。

pp.19-22には推計・集計の手続きが記載されている。

Conclusion

便利なんだけど、便利なんだけど.....まぁ、結構わかりづらいね、って感じのサイトであった。
でも何かには使えるかもな。


Mr.Children 「ヒカリノアトリエ」 MUSIC VIDEO

Enjoy!!

*1:e-statに統合しちゃえば利用者側はラクなんだけど...