6点獲られるなら7点獲ればいいじゃない(洗脳済)

【目次】
はじめに:体制変化を数値面から理解する基礎資料がほしい
※さっさとデータ見たい人は読み飛ばしてよいところ
長谷川健太からミハイロ・ペトロビッチ(a.k.a. "ミシャ")というなかなかにチャレンジングなスタイル転換*1を図った新生名古屋の駆け出しの半年が終わった。
まぁ色んな細かい話を捨象して個人的な感想をひとことで形容すると「観るのが本当に楽しい」ハーフシーズンで、数年ぶりに次のグランパスの試合をみるのが待ちきれないという気持ちにさせてくれたチームであった*2。
で、小屋松やマルクス・ヴィニシウス、マテウス・カストロあたりがこの半年のメンツに合流してくる26-27も待ちきれないんですが、「うおぉぉミシャ式で天下布武や!!毎試合5点とるがや!!」をしていく前に、ここ数年の名古屋グランパスがどういう道程を辿ってきたのかを、いったんここらへんでデータから多角度的に眺める、というのがこの記事の趣旨となる。
というのも、2018年にJ1に復帰してから我がクラブは監督選びにおいて、
「風間八宏→マッシモ・フィッカデンティ→長谷川健太→ミハイロ・ペトロヴィッチ」とかいう激しすぎる個性の反復横跳びを経験しており、ここにどういう中長期的な物語を見出せばいいのかサポ側もなかなか難しい感じになっているからである。
監督交代とともにフロント側も山口(&古矢)体制から服部(&直志)体制に移行したが、前体制の4年間の総括は(少なくともサポーターに共有されるような発信においては)言語化されきらないままで、ぬるっと新たなチームの日々が始まってしまった感は否めない。
別にまぁ総括がないことはそれはそれでええんですが(何年か経ったら赤鯱の今井さんあたりに素さんぶっちゃけインタビューとかやってほしいけど)、4年という決して短くない期間をすごした長谷川体制について
- 前体制に対するどのような問題意識をもって何を目指して船出したものか
- その航海で何を達成し、何を達成できなかったか。その途中でどういう方針転換があったか
- 次体制に託されたものは何で、それはこの半年のミシャ体制でどのように取り組まれているのか
みたいなことを記憶や言説ベースだけじゃなくてデータ面からも検討できる資料が欲しくて、でも無いので、自分で書くことにした
で、長谷川体制1年目の末に寄稿した↑の記事の冒頭でも触れたが、そもそも長谷川健太体制船出の時点で目指されていた変化は、就任会見での健太さん自身の言葉をそのまま引用すると以下のようになる
「ストロングはそのままに、変えるべきところは変えていくために私を選んでくれたはずだと思います。
守備の質は残しながら、攻撃に関しては昨シーズン44得点、一昨年は45得点で、50以上ないと優勝に手が届かないので、攻撃力をさらに上げていきたい」「アグレッシブに前から奪いに行く戦いが自分の持ち味で、メリハリの部分はいままで同様、行くときは行く、考えるときは考えるとやってきて、そういうあり方で名古屋でも戦いたいと思っています」
「もっともっと選手に動きがあるというか、もう少し飛び出していくようなプレーが増えていくと、見ていても楽しいし得点も増えていきます。動きのあるサッカー、ですね」
出典:サッカーマガジンWEB
要するに、フィッカデンティ体制の堅守はそのままに*3、
・"アグレッシブ"に前から奪いに行く
・飛び出していくようなプレーが増えた"動きのあるサッカー"
・その結果としての得点力増
を付け加えることを企図して船出したのが長谷川健太体制だったわけである。
それらがどれだけ達成され、何が課題として残ったのか、ということをちゃんと抑えて今の新体制の取り組みを解釈していかないとなー、というのは個人的な思いとしてあるのだがデータをみるのをサボっていた。
というわけで本記事では、手元のデータの都合上2020年代の名古屋を
- 2020-2021年:フィッカデンティ体制期
- 2022-2023年:長谷川健太体制(前半期)
- 2024-2025年:長谷川健太体制(後半期)
- 2026年:ミシャ体制期
と4つの時期にわけて、いろいろな指標から時期ごとの変化を(各時期のJリーグ平均と比較しながら)ゆるゆると確認する、という記事だ。
厳密な分析ではないので、適当に二つの変数を選び出して、二軸プロット上の時期間変化を把捉することを目的とする。
わりと順番も思いつきで適当にやっていく。グラフをみてなんか思いついたことを放言する。そういう感じ。
位置づけとしては、あくまで基礎資料的なものとなる。
データ出典は、FOOTBALL LABとJリーグ公式サイトのスタッツページに拠っている。
対象試合は該当期間におけるJ1リーグの試合で、ちなみに今年のデータに関しては、プレーオフの2試合は含めていない。
では、さっそく始めよう。
データを眺める(&うだうだ言う)スレ
5段階KPIの変化
以前「グラぽ」に寄稿したときに、「攻守の5段階KPI」なるものを定義し、パフォーマンス指標として用いた。
そのときにグラぽ先生(XのID:grapodotnet)にご作成いただいたかっこいい画像をそのまま貼って説明すると、以下のようなものだ。


というわけで、ここから各局面にフォーカスしたミクロな指標をみていく前に、いったんこのマクロ(?)指標でパフォーマンスのおおまかな把握を行うこととする。
まずはミシャサッカーのウリの部分でもある攻撃面の移り変わりをみてゆく。これは基本的には高いほうが良い数値群だ

まず、長谷川体制はそもそもアタッキングサードに侵入するのにめっちゃ苦労していたことがみてとれる。
ミシャのチームと比べてKPI1が低いのはまぁそうだろうなって感じだけど、フィッカデンティのチームと比べてもアタッキングサード侵入率が低い、というのはなかなかつらい現実という気はする。
先に見た通り、マッシモウノゼロサッカーからの差別点として「飛び出していくようなプレー」「動きのあるサッカー」を標榜したのが長谷川体制だったが、そもそも後ろから選手たちが「飛び出して」攻撃に参加していくにはある程度は前線で時間・空間を確保することが重要で、そこが結局最初から最後までネックだった、という気はする
※この点については、よりミクロな別な指標からもあとで検討・考察を加える
ただ一旦アタッキングサードに入りさえすればシュートにもっていく確率はミシャサッカーと比べても高いので、
長谷川体制4年間を通してみると、2023年の夏時点でのレビューで作成した以下のラムネ瓶型の構造はかわってなかったという感じだ。

KPI4-5ではシュートの「質」の部分を測っているが、こちらも長谷川体制期は苦労した感がある。
とくに22-23は枠内に撃っても全然入らんという感じだったみたいだ
これは先ほど触れたいったんアタッキングサードに入ってからのシュート到達率の高さと表裏一体というか、たぶん(23の夏まで在籍していた)怪我前のマテウスがまぁ前のほうで受けたら結構遠い位置からでもシュートにはつなげてくれる個の力はあったので、そこでシュート数を稼いでいた側面が大きいのかなと推測する
ミシャになってからの半年はシュートの質も担保されていることがわかる
これは山岸(結婚おめでとう)や木村の好調もあったが、そもそもとして崩しがうまくいっていたりゴール前に人数を割けているゆえ敵のDF陣も的を絞れない状況を作れたり、という意味合いも大きいと感じる。
シュートの質を担保するためにはチャンスの質が肝要、ということだ。
次は守備面のKPIの移り変わりをみてゆく。こちらは逆に低いほうが基本的には望ましい指標たちだ。

今年のデータに関しては稲垣離脱後のなかなかショッキングな2試合10失点も含まれていることもあるだろうが、
KPI2-4のデータに関しては、予想通りというかイメージ通りというか2020年代のチームのなかでは一番守備のパフォーマンスがよくないのがミシャ名古屋になっている。
パブリックイメージと一致しすぎてあんまり付け加えて言うこともないのだが、あえて言葉にすると、「いったんディフェンディングサードまで踏み込まれると、かなりの確率で枠内シュートまで撃たれてしまうサッカー」といえる。
まぁその分点取りゃええんや!という思想であることを織り込み済でミシャさんを招聘していると思うので、守備陣の個としての踏ん張りと得点力のさらなる向上をめざしてほしい(諦めの境地)。
まぁ守備全振り&守備のタレントも錚々たるメンツを揃えて数々の記録も打ち立てたマッシモ期が硬かったのはそりゃそうだよねという感じ。
個人的に目を引いたのは、長谷川体制の前半期から後半期にかけて守備面が各種指標が一気に悪化したことである。
23年末に中谷・藤井(・丸山)が一気に抜けたのはやっぱりきつかったよなぁという感じが数字にも出ている*4。
(そんな台所事情の苦しいなかでも2024年に星をひとつ増やしたのは、シンプルに偉大だし流石に†百戦錬磨†の長谷川健太という気はしますが)
あと関連して少し気になったのは24-25の枠内シュートの失点率がかなり高い(つまりセーブ率が低い)ことで、
この二年間をさらに分けて考えると2024はラストシーズンで輝く星とともに退団したミッチがほぼフルでいた(3試合だけ武田が出た)ことを考えると、2025のほうがやばそうだなと思われた…ので実際に分けてみて確認してみた
※上が2024, 下が2025

確かに2025のほうが数値は悪いのだが、2024もそれ以前に比べると数値が芳しくないので、
やはり「セーブ率」という指標はGK単体の実力を表すというよりは, コースを限定する守備組織全体を含めたパフォーマンス指標として捉えたほうがよいだろう。
…というわけで、得点/失点の各プロセスでの効率をとらえるマクロ指標はみたので、次はより詳細な各指標を(適当に思いつきでアットランダムに)みていくこととする
名古屋だけの推移みててもようわからんので、当該時期のリーグ平均もプロット上に並置してみる。
あわよくばリーグのトレンドみたいなものも垣間見えたらよいですな
ラインブレイクラン(指数、成功率)
「ラインブレイクラン」とはLAB公式ページから定義を抜粋すると
トラッキングデータから相手の最終ラインを検出し、
ボール保持チームの選手のうちボールを持っていない選手が相手の最終ラインを越えるような
14km/h以上のランを計測した場合を裏抜けランとし、同指標の定義として利用
というもので、いわゆる「裏抜け」の動きを計測したものである。
長谷川体制において標榜された「飛び出していくようなプレー」「動きのあるサッカー」を測るうえでかなり適した指標と思って確認する

X軸がラインブレイクランの指数(その年の平均値を50とし、ラインブレイクが多ければ高く、少なくなれば低くなるような値)で、
Y軸がラインブレイクラン後5秒以内のシュート確率である。
おおまかに、右にいけばいくほど裏抜けが多くなり(頻度)、上にいけばいくほどラインブレイクランがシュートに結びついている(効率)ととらえればよい。
※指数はその年の平均が50になるのでとうぜんJ平均はX=0で固定になる
上のグラフからはわかるのは
- 長谷川体制では確かにラインブレイクランを増やしたけども、それが成果に結びつく効率は下がった(右下への移動)
- ミシャサッカーではそこからラインブレイクランをさらに漸増させたうえで、シュートに結びつく効率は大幅に上昇した
ということだ。
個人的にはわりと実感とも合致する数値というか、健太さんのサッカーのときは前線は確かに飛び出しを狙ってはいたけれども、
それが近くの選手と連動しない単発な動きに終わりがちだったり、そもそもパスが引っかかっちゃったりで実に結びつかなかったという印象が強い
ミシャサッカーはそりゃ4-1-5や3-2-5の配置で攻めるので前線の動きが多いのはまぁ当然っちゃ当然だが、シュートに結びつけられるようになっているのはよい
ドリブル(回数、成功率)
次に1試合あたりのドリブルの頻度と成功率を軸にとったグラフを確認する。

- ドリブルをもっとも多く用いていたのは実はフィッカデンティ期であった。相手のブロックのなかに差し込むパスでリスクを負うのを嫌っていたので、最終的にマテウスや相馬や前田直輝が頑張って運んだり打開したりっていう感じだったことの結果かな。
- 個人的におもしろいと思ったのが長谷川体制前期から後期にかけてガクっとドリブルを用いる頻度が減ったことで、相馬・森下・(怪我前の)マテウスあたりがいなくなった影響が如実に出ている
- 24-25年、健太さんが最初はそこまで点に絡めなかった中山克広を粘り強く起用し続けていたのも「どうしてもドリブルで引っ張っていく役が欲しい」という感じだったのかなと思う。25年の夏くらいから実際にかなり自信がプレーに感じられてきて、今年爆発したという感じ
- 百年構想リーグではドリブル成功率が爆上がりしていて、60.3%は2位の町田(55.4%)に大きく差をつけてのぶっちぎり一位だ
- 個人スタッツのほうをみると、中山、甲田あたりのドリブラーが良い状態でボールを受けられているのはもちろん、地味に筋肉重戦車木村勇大のゴリブルもだいぶチームを助けていたりしているようだ
クロス(回数、成功率)

- なんか右肩上がりすぎて笑っちゃったやつ。
- ミシャサッカーはやっぱサイドでいい形に仕掛ける数自体が多く作れる分、個の質が大事になってくる(ミキッチ然りルーカス・フェルナンデス然り)ので、中山がアシスト王になるくらいクロス供給元になれたのはすごいよかった。新シーズンは右の破壊力をもうちょい増すことができるかどうか
- しかしハーフシーズンかつ東西で分けての選出とはいえ、オールスターに4人(怪我での辞退がなければおそらく稲垣含めて5人)選ばれるというのはシンプルにうれしかったし、2020年にミッチがベストイレブンに入れなくて2021に入ったときにも思ったことだが、やはりチームが勝たないと個人にスポットライト当たらないなと思った*5
あとちょっと脱線するけど、サイド攻撃に絡めて面白いと思ったのは、以下のヒートマップ(出典:LABのサマリーページ)である。

クロス数とクロス成功率が高くなっているからサイドが一様にプレー割合が高くなっていると思いきや、
中盤(ミドルサード)のサイドはあまり使っていないことがわかる。
運ぶ段階ではむしろ中央を経由し、最後の勝負の場面でサイドに振ってそこからのフィニッシュに持ち込む、というのがミシャサッカーの主要チャネルであることがわかる。
タックル成功率 × 空中戦勝率

- なんか解釈むずい。むずいけど貼っとく
- 「空中戦勝率」が攻守わけない指標なので使いづらさがある
- 24-25が空中戦勝率高いのは①そもそも守備時の空中戦のほうが勝率高くて、そしてこの2シーズンはわりと攻められまくっていた、②三國が個人スタッツもJ1で1,2を争うくらい空中戦強かった、の合わせ技だと思う
- タックル関連指標もなかなか解釈がむずいスタッツの代表格という感じ
- 「サッカー データ革命:ロングボールは時代遅れか」っていう本で、ファーガソンがタックル数少ないからヤープスタムを放出して失敗した(スタムはタックルするまでもないいい守備してたのに)みたいな話があったりした
カウンタープレス指数 × カウンタープレス成功率
カウンタープレスの定義は上でも言及したLABの定義だと
ロスト後5秒未満で相手のボール保持選手に対して一定以上のスピードで接近してプレスを行った場合をカウンタープレスとする。
ただし、ペナルティエリアに選手が密集するような状況でのロストは除外する
となっている。
長谷川体制の船出で掲げられた「アグレッシブに前から奪いに行く戦い」のひとつのわかりやすいパフォーマンス指標となる
いったん指数(各年でのカウンタープレス頻度の代替指標)とカウンタープレス成功率を軸にとったカウンタープレスの変遷をみてみる

- J平均との位置関係からわかるように、フィッカデンティ→長谷川→ミシャと結構振れ幅のある指揮官変更があったにもかかわらず、2020年代のグランパスはずっとカウンタープレスの発動率も成功率も低いクラブ、ということになる。
- まぁマッシモさんのチームは初めからリトリート&ブロック形成重視だし、ミシャは守備はまぁ…って感じなのだが、健太さんのチームは正直もうちょいここの数値頑張れないと勝ち筋薄くてしんどい感じではあったと思う
- ここは健太さんの仕込みの手腕なのか用意されたスカッドとの相性なのか、というと判断は難しいなと思う。2024ルヴァン決勝とかでも永井先輩がいなくなった途端ハイプレッシング怪しくなって新潟がめっちゃ楽になってしまっていたりしたな。
- まぁマッシモさんのチームは初めからリトリート&ブロック形成重視だし、ミシャは守備はまぁ…って感じなのだが、健太さんのチームは正直もうちょいここの数値頑張れないと勝ち筋薄くてしんどい感じではあったと思う
- 『もしかしてこれは即時奪回にフォーカスした「カウンタープレス」の指標だから惨憺たる感じになってるだけで、「ハイプレッシング」の指標だったらもっとマシなのでは?』と思ってそっちの指標も確認したが、似たようなものというかもっとひどい感じだったので割愛
- LABの詳細ページだと「カウンタープレス後の被シュート率」という指標があるんだけど、ミシャ名古屋はそれがJ1で下から2番目(19位)で、カウンタープレスかけにいっちゃうと結構手痛い反撃を食らっている。
- マンツーマンでハメにいくってよりはマンツーマンでついていくっていう感じで守備を考えたほうがよさそうだなと思った。稲垣みたいなスーパー走力マンがいないときは特に。
保持時/非保持時のスプリント数
J公式のデータサイトの項目で、保持or非保持の局面別でのスプリント数が把捉できるのを発見したので
各時期のスプリント数を比較・確認する

- ここまでも長谷川体制前期(22-23年)と後期(24-25年)で結構よくないほうに変化した数値はあったが、そのなかでも結構衝撃的なのがコレだった
- 攻/守両面でだいたい20回ずつくらいスプリントが少なくなっている。健太さんのスタイル云々の前に、これだけ走れなくなるとどのチームも厳しいという感じがする。
- 相馬森下あたりの離脱の影響は大きそうだがそれにしてもという感じで、そりゃカウンタープレスも安定しないわという...
- ミシャさんの半年についてはあまりにも影響のでかい「日本の夏」の期間を含んでいないので他の期間と単純比較できないが、攻撃面の動きがより多くなっているのは、ラインブレイクランの指標の動きとも整合性がある
- あと『ミシャ自伝』(URL)とか今年の要所要所でのコメントを見る感じ、パブリックイメージに比べて、ミシャさん自身がかなり「走る」「闘う」ことを重視している監督なんだなということは感じている。
スローイン成功率/アクチュアルプレーイングタイム
なんか余った指標があったのでとりあえず描いたグラフ。
ので、軸の組み合わせにはそんな意味はないのじゃ

- Jリーグ全体のトレンドとして、APTは減少気味なのがわかる。名古屋も例に漏れずAPTは短くなっている
- どこもロングスローに注力しだしたりしてるのが原因だったりするのかな
- 別にみてて「名古屋のスローインはうまい!」みたいな感想を抱くことはないのだけれど、FOOTBALL LABの指標に準拠する限りわりと2020年代ずっと安定して名古屋は(相対的にみれば)スローインがうまい側のチームらしい。
- ここらへんはスローインの「成功」の定義にもよりそうだけど。先に触れさえすればいいのか、5秒後も継続して保持しているかで測るか、とかでもかわりそうだし。
KAGI/AGI
KAGI/AGIは一言でいうとそれぞれ
- 守備時「どれだけ相手を自ゴールに近づかせなかったか」
- 攻撃時「どれだけ相手ゴールの近くでプレーできたか」
を測る、FOOTBALL LABの独自指標である。LAB公式ページの説明には
そこで当サイト『Football LAB』では、「守備の際にどれだけ相手を前進させなかったか、相手を自陣ゴールに近づけなかったか」という観点から、チームの新守備指標「Keep Away from Goal Index」、略して「KAGI」を集計して公開します。具体的には、
- 相手の攻撃時間のうち、自陣ゴールから遠い位置でボールを持っていた時間の割合が高い
- 相手の攻撃が始まってから、自陣のペナルティエリアまで到達するのにかかった時間が長い
場合に高い評価となるように指標化しています。
とある。
あんまりこういう原数値との対応が外からわからない指標(自分で逆関数が作れない指標)は使うの好きじゃないんだけど、
プロットにしたらあまりにも2020年代のスタイルの移り変わりが美しく表れていたので一応のせておく

名古屋の位置が2020年代を通じて、見事に右下(相手ゴールには近づけないが、自ゴールにも近づかせない)から左上(相手ゴール近くに攻め込めるが、自ゴールにも近づかせる)に移動している。
こうみると、マッシモから急にミシャにするよりは摩擦が少なくなっていると捉えられなくもなく、結果的に「中継点」として長谷川体制の4年間を位置づけられるのかなと思ったり思わなかったり。
感想・雑感など
なんか思ったより長谷川体制の4年間の前期(22-23)と後期(24-25)の内容の差が大きかったのが印象的だった。
相馬・マテウス(帰ってきたけど)・森下・中谷・藤井(こっちも帰ってきたけど)あたりを立て続けに失い、強みが強みじゃなくなったなかでチームを上向かせる大変さが表れていた。
特にスプリント数の攻守両面での大幅な減少が衝撃的で、そんな状況のなかでルヴァンよう獲れたなという気がする。
数値上からみると(というかまぁそれ抜きに内容みてても)健太さんの4年間は苦労のほうが多かった期間だなと改めて思ったが、
言うてJリーグ開幕から33年で5つしか星獲ってないクラブなので、4から5に増やしたのはマジで偉大ではある。
「ミッチのために」というあの年特有のブースト要因をうまく結集させつつ、決勝Tでは保持型のチームに立て続けに永井和泉森島のプレスをぶつけて一つ星を残したのは流石の勝負勘であった。
楽しそうにきのう(26/6/13)もオールスターの解説してたが、現場復帰も楽しみだ。
で、ミシャさんのサッカーに関して言えば、
攻撃面(特にサイド攻撃)の充実やラインブレイクランの活性化など嬉しい変化も、
守備面での"食い止められなさ"(KAGIの悪化やディフェンディングサードに入られてからの抵抗力の弱さ)という弱みも、
おおむね見てた感じそのままのイメージだった。
サイド攻撃の破壊力を確保するところと、守備時に無理やり1on1の強さでしのぎきるところ、ここの"個"のクオリティに関しては金かけるのをケチっちゃいけないサッカー*6だなという印象はあるので、そのあたりフロントがどれだけ頑張れるかも鍵になる気がする。
まぁ、言うて個だけでしのぎ切るにも限界があるので、「6点獲られても7点獲りゃあええがね」マインドで我々は楽しみましょう
Enjoy!!
*1:もちろん180°違ってて何もかもを変えないといけないというわけじゃなくて、ほかでもちょくちょく指摘されているように、うまく健太さんの重視していた部分やスカッド構築から活かせる部分もあったのだが、それを書くとそれだけで1本の記事にできてしまうのでここではいったん置いとく
*2:まぁ内容や結果がどうであれ、いつだってマイクラブの試合はそこにあるだけでありがたいしかけがえがないのだが、久しぶりにチームの基底≒価値基準となる"スタイル"が見えるサッカーで、毎試合の積み重ねが楽しみになるという感じ
*3:脱線してしまうが、そもそもこの「X監督が守備を整えてくれたからY監督が攻撃を仕上げれば完璧だ!」のやり方が成功しているのをみたことがないという話はある。組織は時間とともにかつての強みを忘却してしまうし、そもそもフットボールという競技特性自体が「丈の足りない毛布」という例えによくあらわされているように攻と守を別個に分けて整えることができないものだ
*4:本人は夢半ばという感じでいろいろ難しい判断だったと思うが藤井陽也が去年夏に帰還してくれたのはあまりにもデカい。復帰直後はちょっとコンディション悪そうだったけど今年のプレーは出色だった
*5:去年の稲垣祥さんみたいな良い意味でのバケモノは除く
*6:札幌時代もまさにその部分の個(ルーカスフェルナンデスや高嶺や田中駿汰)が抜かれていって決壊したので














